サインバルタはなぜ朝食後?

こんにちは。調剤薬局に勤務する薬剤師のKODAMAです。

先日、患者さんから「サインバルタはなぜ朝食後の指示になっているのですか?」と質問を受けました。今回は、サインバルタについて説明します。

現在、うつ病や不安障害の治療の第一選択薬は「SSRI」や「SNRI」に分類される薬剤です。サインバルタは「SNRI」に属しています。

うつ病や不安障害の患者さんは、脳内における神経伝達物質のノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンなどが不足しています。これらの神経伝達物質を簡単に説明しますと、

ノルアドレナリン=「覚醒」 不足すると・・・無気力、無関心、意欲低下

ドパミン=「喜び、快楽」 不足すると・・・集中・やる気・性欲などの低下

セロトニン=「精神安定」 不足すると・・・不安、緊張、イライラ

となります。
したがいまして、これらの神経伝達物質を増やすことが、うつ病や不安障害の治療に繋がります。

ここで冒頭に出てきたサインバルタですが、サインバルタは「SNRI」というグループに属する治療薬で、具体的にはセロトニンとノルアドレナリンを脳内に増やそうとします。SNRIのS=セロトニン、N=ノルアドレナリン です。「SSRI」は、主にセロトニンを脳内に増やそうとします。

「SNRI」の場合は、セロトニンのみならずノルアドレナリンも増やしてくれるということです。ノルアドレナリン=覚醒と、先ほど説明いたしました。つまり、意欲低下の著しい患者さんには「SSRI」より「SNRI」の方が適していると言えます。

そこで、冒頭の「サインバルタはなぜ朝食後なのか?」に話を戻しますと、サインバルタを服用するとノルアドレナリンを増やすことで神経の高ぶりが起こる可能性があるのです。したがいまして、夜に服用すると不眠の原因となりかねないため、朝食後服用が望ましいということになります。